毎年新年の挨拶として年賀状と取り交わすのが日本人の習慣であるが、医者の世界でも
もちろん年賀状のやり取りは常識である。今日はそんなお話である。
柳原「年賀状書いたか」
優子「当たり前じゃない」
柳原「俺、書いてないんだよ。正月中に書こうと思ってたら、毎日病院に呼ばれるから
結局書けなかったんだよ。大量に届いちゃって、やべえな」
優子「ルーズだわね、クリスマスまでに書くでしょ。普通。元旦に届くように」
柳原「でも、お互い大量に届くから俺から来てないなんて気が付かないよな」
優子「まあ、確かに。あんた存在感ないから心配しなくて大丈夫よ。目立つ人なら別だ
けど」
柳原「俺を慰めているようで、ディスってない?お前」
優子「自分にとって大事な人なら、年賀状来てないか気が付くけど。だから大丈夫だ
よ、そんな気にすんなって」
柳原「優しく声かけてるようだが、俺がまるで誰にも大切に思われてない感じで言って
るよな。傷ついてるよ、ナイーブな俺は」
優子「それにしても、毎年全然知らない顔もわかんないような人から年賀状来るよね」
柳原「あれ、多分、毎年医局から配られる同門の医局員の住所録そのまま全員印刷し
て送ってるんだろうな。」
優子「送られた方も『誰?』って感じで、お年玉はがき当たってなければ、まったく無
意味な紙切れだよね」
柳原「送る相手くらい、名簿見てピックアップすればいいのにな。あれ、送られてきた
ら一応返さないと思って、知らない相手でも返すないといけないから迷惑だよな」
優子「今年、まだ年賀状書いてない奴が何言ってんの?」
柳原「送った立場での気持ちを言ったまでだ。昨年までの俺の気持ちだ。だいたい、そ
ういうやつは医局の名簿、奥さんにバーンて投げて渡して、ここに書いてるやつ全員
印刷して出しとけ、みたいな態度の亭主関白野郎だ。奥さん、そんなやつとは別れた
方がいい。俺のところへ来なさい」
優子「年が明けて仕事始まってるのに、まだ年賀状書いてない奴が何言ってんの」
柳原「だいたいそういうやつは病院でも、看護師にいばってて、電話来ても『あ?俺今
忙しいから行けねーよ』ってぶちって電話切る感じのやろうだ。」
優子「暇なら早く書きなよ」
柳原「はい」
作者は時間のある時に住所録作って、住所部分も印刷して楽に年賀状書きしたいなとい
つも思ってますが、結局できずに手書きで書くのでほんとめんどくさいです。